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経営の未来を創る人材データ活用 ~新しい時代における組織・人材戦略を先駆者と共に考える~『HRD Next 2021-2022 PROGRAM1 Day2』

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経営の未来を創る人材データ活用 ~新しい時代における組織・人材戦略を先駆者と共に考える~『HRD Next 2021-2022 PROGRAM1 Day2』

HRテクノロジーという言葉が市場に認知され始め、ピープルアナリティクスに取り組む企業が増えつつある中、経営/事業に役立つ真の意味でのデータドリブンHRを実践できている企業は極めて少ないのが実情です。そこで、本セッションでは事業構造の根本的な変化が到来する時代において、戦略を実行に繋げるデータドリブンな組織・人材戦略によって事業発展に貢献してきた先駆者とのディスカッションを通じ、新しい時代の組織・人事戦略を考察。経営者のためのデータドリブン人事の時代の到来を見通すセッションとして、ゲストスピーカーとして、株式会社ブレインパッドの東一成氏をお招きして実施されました。

セッション動画はこちら


目次

1. 事業におけるデータ活用の広がり


データ活用を“DX”の話題の観点で考える


まず、水谷が「バリューチェーン」の図を用いて、購買、製造、出荷・物流、マーケティング・販売、サービスの各事業活動におけるデータ活用の広がりを説明。そこで、東氏に「企業における代表的なデータ活用事例はどんなものがありますか?」「その際に活用されている新しい技術は?」と質問。

これを受け、東氏はまず、データ活用について国のDXに関わるレポートなどを基に、まずはシステムの話から入りました。

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出典:株式会社ブレインパッド

同レポートには、「企業のDXには、いろいろな形のシステムが必要」と記載されています。そのシステムとは、社内情報の記録・維持・管理が目的の「SoR」(System of Record)。人・企業・集団を繋げる仕組みの「SoE」(System of Engagement)。そして今言われているのは、「SoI」(System of Insight)。大量のデータが蓄積されているSoRとSoEから、AIの活用によって意思決定の“支援”のための新たな洞察を導出するシステムです。マーケティングにおいては自動化が進んでいますが、営業における優良顧客とのリレーション構築や、人材育成など人間の内面を理解しての意思決定は自動化が困難。そこで、意思決定に役立つ何らかの洞察を得るために必要とされているものです。


データ活用における機械学習のバランス

この流れで、東氏はデータ活用における機械学習のバランスに言及。データと機械学習の知識や精度が重要な「当たればよい」天気予報や顔認証から、「当てることへの比重が高い」レコメンドなどのリアルタイムパーソナライズ、「当てるだけでなく、その理由も重要」な広告などのターゲティング、そして、確率より「むしろ理由が重要」な退職など人事領域の分析まで、データ活用の目的はグラデーションになっています。「こうなると、AIも通用しない領域があることがわかるようになってきました。このように、広範な領域においてデータが活用されるようになった今、どういった目的でデータを活用するのかをより明確にしてツールを用いる必要があると言えます」と東氏は話しました。

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出典:株式会社ブレインパッド

ここで水谷は、東氏の作成資料にある「実はこの(理由が重要な)分野に注目しています」とのコメントについて質問。東氏は「マーケッターや経営者に『このユーザーに来月DMを送信すると商品を買う確率が高い』と説明しても、『すぐやろう』という人はいません。『なぜなのかを知りたい』という人ばかり。そこをうまく説明できないと、社内にこの結果を展開し人を動かすことができないからです。広告でターゲティングされる“理由”がわからなければ人は納得できないのも同様です」と説明しました。水谷は、「そうした領域では、データに現場の業務知識や説明力がより色濃くブレンドされる必要があるのだと思います。そこでは、企業やマーケッターの経験や価値観がより重要になるということでしょうか?」と質問。「いきなり人事データを渡されて『いい社員を探して』と言われても、探せるものではありませんね。理想とされているハイパフォーマーは誰かを聞いてからでなければ、データ分析してもわけがわからないと思います」と東氏は回答しました。


HR領域におけるデータ活用の実態

次に、水谷はHR領域におけるデータ活用の実態を説明。まず、米国のHRテクノロジー市場の傾向を示し、「事業戦略の実現を担う人事戦略に活用されていくとの見通しがポイント」と話しました。日本では、2019年度で約1,119億円の市場があり、現段階で449種類のサービスを確認。2020~23年の年平均成長率は13.7%という成長市場であることが説明されました。

そこで、HRテクノロジー活用領域を整理。求人、採用、配置・登用、組織・人材開発、労務・評価に分類したところ、求人領域で最も適応が進み、配置・登用と組織・人材開発という高度な機能が必要な領域は、今後加速化すると分析しました。

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また、現在の人材データ分析としては、管理職比率や労働時間などの単純集計や指標把握、属性ごとのグループ間比較や経年比較に留まるケースが大半であることを示しました。

ここで、水谷は東氏にHRテックついてどう捉えているかと質問。東氏は、HRテックベンチャーが伸びている現状認識や、自社の提供しているMAツールが人材紹介会社に活用されていることに触れ、「たくさんの企業とたくさんの人材のマッチングや、付随して日々発生する連絡業務を、データやツールを活用して効率化させたいとのニーズがあります」と話しました。

本対談の全内容をご覧いただきたい方はこちら

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株式会社ブレインパッド プロダクトビジネス本部 本部長 東 一成氏
 

2. 先人に学ぶ/データ活用の最新アジェンダ


データ活用で伸びているベンチャー


まず、水谷は東氏に「今、議論されているデータ活用はどんなテーマになっていますか?最新のアジェンダを教えてください」と質問しました。

東氏は、データ活用で伸びている海外のベンチャーやIPO企業を紹介。決済×融資のSquare、EC×融資のshopify、医療×SNSのdoximity、BNPL(後払い)×決済のaffirmを説明しました。「後々、溜まったデータを活用して何かを始めるという気運が米国企業にはあると感じます」とコメント。さらに、HRテックにおいて、チャットボットによるコーチングや、1 on 1の際に話題を提供するアプリの例にも言及しました。

さらに両名は米国におけるダイナミックな業界再編の動きに触れ、そのキャッチアップの重要性を指摘しました。

続いて、東氏は「サービスとしてのデータ活用」と「業務革新としてのデータ活用」について説明。

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出典:株式会社ブレインパッド

現在、消費者が発生させているテキストや画像、音声などの非構造化データが80~90%を占め、このビッグデータをいかに活用するかが問われていると話しました。一方で、実際はこうしたビッグデータを扱う担当者は極少であり、Excelやスプレッドシートに集計されている“今、そこにあるデータ”からのAI活用による知見や洞察を得ることこそが、多くのビジネスパーソンの目的となっていることと、これを支援するBIツールの進展状況について話されました。


“Small Data Analytics”が現実的

 次に、東氏は「データは“ビッグ”であればいいというわけではない」ことに言及。東氏が企業からアナリティクスツールを使いたいとの要望を受けた際、「どんなデータで何を分析したいのかによってツールの金額は2ケタ変わる」と説明すると言います。そこで、「予測」「要因発見」という目的と、「スモールデータ」「ビッグデータ」というデータの種類によるデータ活用のマトリクスを説明。「“統計的な正しさ”より、日々意思決定を行う大勢の社員の“Small Data Analytics”による“腹落ち感”が組織のデータ活用に繋がるので、経営層を巻き込んだ“小さな成功体験の積み重ね”が大事」との重要なポイントを話しました。

そして、「例えば、消費者のページビューというレコードと、購入というレコードの間には、消費者の様々な行動があります。データサイエンティストは、いろいろなデータを搔き集めてきて、レコードとレコードの間にある情報を埋め、消費者のあらゆる行動を明らかにする分析を行います。これがビッグデータになるのです。Small Dataでも、項目が多くバラエティのあるものならば、これに有効に使えるのです」と付け加えました。

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出典:株式会社ブレインパッド

これに対し、水谷は「“データ分析”と聞くと遠い存在のように感じる人も多いでしょうが、そうではなく、目の前の“Small Data Analytics”が現実的とのトレンドにあるということですね」とまとめました。


“共育”と“共創”が重要

次に、水谷は“先駆者に学ぶ”という主旨に戻り、デジタル変革推進に関する、Harvard Business Review誌による“USJは顧客体験をデータドリブンで進化させる”という論文記事に触れました。同記事には成功例ではなく失敗例が書かれており、“回避”という模倣ができることの意義について紹介。マーケッターの視点による『あったらいいな』というデータの取得に時間と労力をかけるのはやめよう」という点や「データドリブンな組織に変革するには、よくできた机上の空論をいくらぶつけても動いてもらえない。経営陣と現場の両方を巻き込んで、強い共感を生み出すことが欠かせません」といった経験を引用しています。

続いて、水谷は自社がブレインパッド社と業務を行った際、人材アセスメントデータはExcelなどで表せる構造化データであり、短期間で示唆を得やすい価値があることを学んだことに言及。東氏は、「非構造データである画像も、コンピュータ的にはピクセル単位で構造化されたデータであるものの、人が分析などを行うのに扱いづらいものであるのに対し、アセスメントデータは即座に分析ができるもの」と評価しました。さらに東氏は料理に例えて「非構造化データは畑から野菜を収穫するところからのスタートであるのに対し、構造化データは必要な野菜がカットされた袋詰め」との比喩で説明。加えて、「人事において、出退勤の履歴データからは何も出てこなくても、日々の行動や評価、スキルなどの様々な材料を集めればいろいろなものが導出できます。その点、アセスメントはいろいろな観点から測定する設計でつくられたものであり、そこからいろいろな結果が出てくるものと理解しています」と話しました。

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次に水谷は、東氏が先人から学んだことについて質問しました。東氏は、国のDXレポートに「“共育”と“共創”が重要」と書かれていたことに言及。「データ所有者はテクノロジーがわからず、データ分析ベンダーも気づけないことがあり、一緒にやって『なるほど、このデータはこう使えるのか』と気づくことがDXでは大事」と話しました。また、エジソンの失敗へのポジティブな姿勢を引き合いに、SoE領域での「やってみなければわからない」という失敗前提の取り組みの重要性を話し、「成功の共通要因は、正解を求めるのではなく実践を重視しているところ」と指摘しました。

水谷は、大手企業においては事業部同士で“共育”“共創”関係として失敗の共有化の大切さに触れました。これを受け、東氏は組織間で共有しやすいシステムの必要性を指摘しました。


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3. データドリブン人事への糸口を知り、経営の未来を創る


同時に“ディシジョンドリブン”が必要

まず、水谷は東氏に「これからデータドリブン人事へ進化する上で、考えておくべき事柄はどんなことがありそうでしょうか?」「デジタル人材の確保・育成において、重要な観点は何でしょうか?」と質問。

これを受け、東氏は「“データドリブン”と同時に“ディシジョンドリブン”が必要」と話し、パブロ・ピカソの「コンピュータは役立たずだ。答えしかくれない」との言葉を紹介しました。コンピュータは、データとテーマを入力すると答えをくれますが、何を入力するかは人がきちんと考えなければなりません。「つまり、答えしかくれないコンピュータにどんな問いを出すかが重要」というわけです。特に、営業や人事など主観が強い業務領域で、納得できる問いを設定することが求められるということです。

続いて東氏は、データドリブンで意識していることについて説明。「データが語ってくれると思っている場合」のデータ分析は、“良い顧客”からデータを見つけようとして、結果的に「売上回数が多い」「高単価の商品を買ってくれた」といった当たり前の結果しか導き出されません。これに対し、「データに語らせると思っている場合」のデータ分析は、「月に2回以上、半年で4ジャンルで買ってくれる」といった“自分たちの理想の顧客像”をデータで理解し、その理想的な顧客はDBに何人いて、どんな特徴を持っているかをデータで表現し、いかにそうした顧客を育成するかとの施策に活用できると話します。

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出典:株式会社ブレインパッド

この話に、水谷は自社が提供している360度サーベイにおけるフリーコメントについて触れました。ある企業では、フリーコメントが軒並み無記入だったのは、トップダウン組織におけるバイアスの影響の可能性との自社の解釈を経営者が評価したことを、「データに語らせる」ことの類似ケースとして紹介。これに対し東氏は「年収欄が空白の場合、データ分析する際に平均値で穴埋めするケースがあります。しかし、空白なのは高所得者であることを知られたくないという意思の表れの可能性が大きく、このメッセージを取りこぼすことになってしまうのは要注意」と指摘しました。

アナリティクスツールを選ぶポイント

次に、東氏はアナリティクスツールを選ぶ時のポイントを説明。分析対象(市場、顧客、製品)と分析タイプ(「何が起こったか」「なぜ起こったか」「何が起こるのか」「どうやって実現するか」)で分けられることを示しました。

続いて、デジタル人材を生かす組織づくりの必要性を話しました。“君に任せたよ”型は、1人が全部できる“スーパーマン”になるものの、話していることが誰にも理解されず、ヘッドハンターに引き抜かれてしまうといった弊害を指摘。これに対し、“貴社にお任せします”型は、手軽で最短時間でスタートできる半面、ノウハウが社内に蓄積できず、チェックする人材も必要となり、コストカットのための方針変更の対象になりやすいといった側面があります。

そこで、ベストなのはマネージャー、アナリスト、データ管理者の三者がいて、経営層のコミットの上でデジタル人材を組織として管理できることに加え、外部のノウハウも活用できる組織であると指摘。「海外企業には普通に備わっていますが、日本企業からこうした組織づくりの相談が数多く寄せられています」と東氏は話します。

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出典:株式会社ブレインパッド

次に、水谷は備えておくべき事柄として、データ蓄積と活用の方向性について触れました。

まず、人材データ分析に使用もしくは使用予定のツールは、ExcelやAccessが66.9%、タレントマネジメントシステムが45.1%と他を圧倒していることを示しました。その上で、人材データ分析ツールの比較として、Excelとタレントマネジメントシステム、BIツール、拡張分析ツールを内容、必要スキルで整理。それぞれ一長一短ある特徴が説明されました。

次に、拡張分析ツールを用いた3事例を紹介しました。

1つめは、イノベーティブ人材などロールモデルの探索。人材探索の質とスピードを両立させ、経営の意思決定に貢献できることを説明しました。

2つめは、適材配置。事業開発マッチと運用企画マッチのメインロールで構成されている企業において、事業開発にシフトする局面において、運用企画側に事業開発マッチの人材が隠れていることを掘り起こすといったケースです。

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3つめは、マネジメント強化。ハイパフォーマーに影響を与えている要素は何かという要素分析を行い、能力開発プランに繋げていくといったケースを拡張分析ツールであり、「VizTact」によって実現したことを説明しています。


最重要な要素は結局“人”

こうした分析が可能なブレインパッド社のプロダクト「VizTact」について、東氏が商品化の経緯とともに、処理スピードの速さやビジュアライゼーションの効用などのメリットを説明しました。

「人事データ分析の要望を取り入れ、BIにAIを加えるようなツールのつくり方が、今後の大きなトレンドになると見ています」と東氏はまとめました。水谷は「ツールだけ紹介するのではなく、これでインサイトが分析できると説明することで多くの企業に受け入れられると確信しています」と話しました。

最後に、水谷は東氏に「経営の未来を創る人材データ活用とは」と問いました。東氏は、「無限にあるデータをいかに使うか。日本は語尾や空気でニュアンスの違いを表現しますが、多民族国家の米国はデータで差異を表します。価値観が多様化する中、思っていることの違いもデータで数値化できるのです」と話しました。

また、東氏が2000年に行った講演内容を引き合いに、現在の状況は20年前と変わっていないことに言及。「本当の問題は“優秀なデジタル人材がいない”のではなく、“優秀なデジタル人材を生かせず凡人にしてしまう”ことにあると言えます」と指摘し、アメリカの起業家のジム・ローン氏の「自分の実力は周囲にいる5人の平均値となる」との言葉を紹介しました。

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出典:株式会社ブレインパッド

そして、最後にデータ活用に成功した企業の共通要因について、8つの条件を示し、「最重要な要素は結局“人”です」と指摘して本プログラムを結びました。

本対談の全内容をご覧いただきたい方はこちらです

こちらのセッションの事例に利用した拡張分析ツール「BrainPad VizTact」のお問い合わせは下記リンクよりお願いします。
https://go.brainpad.co.jp/viztact/contact


★ゲストスピーカーの紹介★

株式会社ブレインパッド プロダクトビジネス 本部 本部長
東 一成氏
Kazunari Azuma

大学卒業後、鉄道系の情報システム会社に勤務の後、外資系のアナリティクスツール会社にてプリセールス、プロフェッショナルサービスの部隊でデータマイニング、BI、BSCなどの導入支援を担当。
その後、海外から機械学習システム、MA、分析プラットフォームなどの日本市場への展開を支援し、ビジネス立ち上げ、プリセールス、トレーニング・導入支援、サポート、日本語化などを担当。
現在もMA、拡張分析、ソーシャルメディアアナリティクス、分析プラットフォームに関する国内外のソフトウェアの展開や調査を行っている。
過去にテレコム通信、空港、百貨店、小売・流通、通販、カード、証券、商社、サービスなどの様々な業種への機械学習やMAなどの分析システム導入の経験・実績を持つ。

株式会社ブレインパッド
https://www.brainpad.co.jp/

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