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デジタル変革とピープルアナリティクスの未来『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day1_Session4』

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デジタル変革とピープルアナリティクスの未来『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day1_Session4』

多くの企業がデジタル変革に取り組み始める第一歩として、社内にデジタル推進組織を立ち上げています。DX推進では、新規サービス創出等の不確実性の高い取り組みにおいて、できるだけ多くのアイデアを出し、関連施策を走らせていくことが一つの成功要因。しかし、そうした取り組みにあたり、多くの企業でDX人材不足が報告されています。そのため、社内人材の能力開発だけでなく、外部人材確保に向けた経験者採用、また適正配置や処遇に関する人事制度の再設計と仕組み化が喫緊の課題となっています。 当セッションでは、デジタル変革に求められる新規事業創出を可能とする組織・人材をどのように生み出せばよいのかについて、NTTデータでの取り組みを元に考察。同社がデジタル変革に挑むために立ち上げた「出島」組織を切り口とした組織人事の取り組みや、組織のミッション・ビジョン・バリューを起点とし、ピープルアナリティクスを活用した組織風土形成、人材育成の現在進行形のプロセスを、事業トップとそれを支えるコンサルティング部門のリーダーからご紹介いただきます。

セッション動画はこちら

ゲストスピーカー:
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ

ITサービス・ペイメント事業本部 SDDX事業部長
内山 尚幸 

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
コンサルティング事業部 部長
コーポレート統括本部 デジタル戦略室(Digital Strategy Office)兼務
東谷 昇平 

モデレーター:
HRDグループ・プロファイルズ株式会社
ディレクター パフォーマンスコンサルタント 
水谷 壽芳

目次

デジタル戦略室のTalent Transformation戦略

ゲストスピーカーの自己紹介トークの後、セッション開始。 まず、東谷氏が「デジタル変革の取り組みの背景」について説明を行いました。東谷氏が在籍しているデジタル戦略室(DSO)は2017年にスタート。まずは“デジタル”についての概念の社内共通化を図るべく、役員や事業部長を集めて丸一日議論したことが報告されました。その場では「顧客の期待する成果」「顧客にとってのデジタル化」「デジタル化を実現する6つの領域」を定義。その上で、DSOは同社のデジタルビジネス加速化のために、次の3つの戦略を導出しました。

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①Direct Investments:受託から顧客との新ビジネス創出へのシフトへの投資
②Strategic Partnerships:変化の激しいデジタルへの取り組みを行う仲間づくりへの投資
③Talent Transformation:自社のDXのためのデジタルネイティブ育成への投資

このセッションでは、③Talent Transformationについての説明が行われました。

DSOは、Talent Transformationの目的を①新規ビジネスアイデアを事業化に繋げる仕組みと文化・風土の醸成、②クライアントとアイデェーションから事業化までを推進できる人財の育成、の2点に設定。その背景として、クライアントからの「一緒にデジタル化を考えてほしい」との要請の高まりや、それに応える人材育成という課題があることを挙げました。

2点の施策の方向性としては、①に対しては「チャレンジする人が育つ場をつくる」「トップのコミットで熱意を挽き出し行動を促す」、②に対しては「クライアントと共に道を切り拓く人財を育てる」という“場”“マインド”“スキル”の3要素を掲げるとともに、現場、DSO、人事が役割分担し、三位一体での推進がコミットされたことが説明されました。

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(出典:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ)
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現場、DSO、人事の“三位一体”がポイント

「この“三位一体”がポイント」と東谷氏。同社には数多くの現場があり、人事は共通項を意識した施策を打ち出しがちとなる半面、各現場はそれぞれのニーズにより則したものを求めるからです。そこで、このギャップを埋めるべく両者の間にDSOが介入し、現場と人事を繋いで戦略的に施策を展開することを意図。DSOが現場の“場”“マインド”“スキル”を整える処方箋をつくり、人事と共有し人事が全社に展開する仕組みを考えました。

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(出典:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ)

そこでポイントになったのは、どの現場をモデルにするか。同社は公共、金融、法人の3分野で約50の事業部があり、それぞれビジネスや課題が異なるからです。そこで、以前行った組織診断結果から、DXに対する課題観は共通しているものの、相対する業界の成熟度の違いから課題に対する温度差があることを分析。①ターゲット市場のDX成熟度が高い②組織が新規事業開発にコミットしている③組織長の覚悟、という3点で現場を選定し、処方箋をつくり全社展開することがベストと導き出しました。「これで選んだのが、最もデジタル化が進展し、新規オファリングをミッションに掲げ、“覚悟の男”の内山氏が率いるSDDX事業部でした」と東谷氏。

以上の説明に、水谷は「学びのポイントがたくさんありました」とコメントし、大企業における現場と人事とのギャップを埋める組織の意義に触れました。戦略をつくることはできても、その実践は難しいことを指摘した上で、交流のある東谷氏の組織人事に対する熱意を紹介。東谷氏は「関心のあることをやらせてもらえているからです」と回答しました。

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SDDX事業部のミッション

水谷は、内山氏にDSOの取り組みに対する見方を問うと「一事業部ではできない投資を割り振ってくれるチャレンジングな取り組みで、新たな気づきもありました」と評価。DSOの処方箋づくりに選定されたことに対しては、「目的に同意したので一緒にやってみようと思いました」と回答しました。

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次に、内山氏がSDDX事業部を説明。SDDXとは“Service Design & Digital eXperience”の略で、顧客の新たな成長源泉づくりを目的としたDXと、ビジネスを加速させるマーケティングのデジタル改革の2点をミッションとして、2019年4月に設立されました。新規ビジネス創出事例として、レジがないウォークスルー店舗「Catch & Go」を例示。デジタルによるリテールビジネスのアップデート施策として、人手不足や販売機会創出、人件費削減という価値を提供するものです。

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(出典:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ)

ここで水谷は「『Catch & Go』のデモを見せてもらい、顧客体験を変えるソリューションと実感しました」とコメントし、社内外の反響を尋ねました。内山氏は「多くのメディアに取材してもらい、お客様にも体験してもらってこうした取り組みの意義が理解されました。非常に好評です」と回答。東谷氏は「内山氏と喫煙室でたまたま会った際に、元々あった『Catch &Go』のデモ機で実際の店舗を本社内につくってみたらいいのではと話したことが発端になっています」とのエピソードを披露。IT企業の同社が実店舗を運営してみることで、小売業や消費者の受け止め方が理解できるというわけです。そして、内山氏に「Catch & Go」を3か月ほど運営し、データを取ってわかったことなどの成果を尋ねました。内山氏は、最も売れているおにぎりの購入者特性や、時間帯別および顧客属性別の動線の違いなど「やってみてわかったことがもの凄くたくさんあり、データで次を考えられるようになりました。当社はシステムをつくることが得意ですが、そのシステムで得たデータをどう生かすかに気づけたことが大きな成果」と話しました。

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SDDX事業部の組織課題と解決施策

水谷は、そのようなSDDX事業部の活動の裏側にある組織人事に話を向けました。

内山氏は「足元でもがいている状況をお話しします」と、同事業部が抱えている課題を説明。「Catch & Go」のような世の中にない新しい事業やサービスを生み出そうとした時、事業部長の「顧客業界の最高の未来を創ろう!」と号令をかけても、メンバーの間には「本当にできるのか?」「どうやれば評価されるのか?」との疑問が生じたと言います。その要因として、事業部長の方針の抽象度の高さやメンバーにとっての優先順位の問題、既存事業とは異なるであろう方法論が見えないこと、そうした中でもメンバーが考え出したプランに対する事業部長のフィードバックが、結果的にメンバーが迷うようなものになったとの問題がありました。また、事業部の設立当初は社内から専門性が尖っている異能人材を集めたものの、その後一般的な人材も加わる中、高度な目標に対して個人戦から組織戦に変えていく必要性が浮上。「それまでの組織力を高める上で人材への取り組みが弱いと反省しました」と内山氏は打ち明けます。

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(出典:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ)

そして、①ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の定義・浸透、②事業戦略と実行プロセスの定義・発信、③人財特性を加味した実務支援方法の整備という施策を打ち出したことに触れ、ここでは③について説明されました。

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(出典:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ)

組織として目指している、顧客価値創造型のアジャイルなスタイルにおいて必要な人材像(ロールモデル)の策定や、その育成支援を開始。具体的には、顧客価値を生み出す人材として“走者”と“伴走者”の2タイプが必要との仮説を出し、Profile XT(PXT)を用いてそれぞれのロールモデルを策定しました。走者とは、不確実性の高い世の中で0から1を生み出す者で、1のアイデアを10にビジネス化するのが伴走者という定義です。その上でメンバーの資質をPXTによって可視化し、ロールモデルとのギャップを数値化。そして、まずはギャップを解消するための各自の内省をコミュニケーションによって支援するところから育成体制の整備を始めました。

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(出典:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ)
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PXTで人が変わり文化が変化する土台に

そのコミュニケーションは、従来のようなタスク管理のような方法ではなく、各自の特性や資質を踏まえた上で成長のための内省やモチベーションを引き出すためのケアが必要であり、「管理職が経験したことのないマネジメントとしてどうしていくべきか、PXTを基に検討しているところ」と内山氏は話します。続けて、内山氏は次のように語りました。

「事業価値を最大化させるために、人と仕組みと文化の3つを掛け合わせていく必要があると思っています。いつの間にか自分の事業部はチェーンがかかっていない自転車のペダルを一生懸命に漕いで前に進まない状態にありました。このチェーンをしっかりギアに噛ませることが、人と仕組みと文化を掛け合わせることでした。PXTを取り入れることで、まず人が変わり、文化が変化する土台ができたと思います」

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(出典:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ)

この話を受け、水谷は「事業部長の内面を共有していただいてありがたいです」と応じ、現場と人事にDSOが介在することからどんなことを学んだかを尋ねました。

内山氏は、「自らの事業部のミッションとして世の中にないものを生み出そうとしているので、成果物や活動プロセスに答えがあるわけではなく、やってみなければわからないことが多分にあるものの、できるだけ“科学”したい。成果を導くために必要な行動と、その行動を引き出す各自の資質をどう繋げるかが重要」と回答。人材そのものと、組織の仕組みでカバーできること、文化でカバーできることなどをどう全体的に繋いでいくかが肝要であるとの認識を示しました。

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「PXT統括読み替え表」で到達度を深める

東谷氏は、「組織が抱えている課題はそれぞれあるが、人事は人にフォーカスするものの組織としての課題感に向き合ったことはあまりなかったので、各組織の課題を共有し処方箋をつくることは間違いなかったと感じました」とコメントしました。

ここで水谷は、内山氏に個人の資質に関心を持った理由について質問。内山氏は、顧客の未来をつくるには組織としてのリーダーシップが必要で、そのためには個々のリーダーシップが求められると東谷氏と話し、研修を実施したことに言及。「研修でリーダーシップを言語化したものの、組織としての成果にはなかなか結び付きませんでした」と言います。一つ一つの行動レベルに分解しないと見えてこないと感じ、東谷氏に相談するとPXTを紹介され、そこから関心を持ったと言います。

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水谷は、NTTデータとの仕事の中で、「提供した素材を料理する達人がたくさんいると感じました」と発言し、SDDX事業部が「PXT統括読み替え表」を作成したことを紹介。例えば、行動特性の「組織従順性」は「ルール創生/ルール活用」と読み替えています。

「社内では、これまで個人の資質に入り込むことはやっていませんでした。これまで経験と勘でやってきたことが言語化されることは大きなメリットであり、より到達度を深めるためにアレンジしました」と内山氏。

さらに内山氏は、今後の組織の成長を図るために、採用や配置、マネジメントなどにPXTがどう使えるかを東谷氏などと共に検討していくことが次のチャレンジと話しました。

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PXTの人財還流とジョブマッチへの活用

次に水谷は東谷氏に今後の展開について話を振りました。

東谷氏は、SDDX事業部に対して作成した処方箋を人事と全社に展開しその効果測定を行うことと、人事情報とPXTデータを掛け合わせて人事課題にトライしていく方針を述べました。さらに、SNSやメールなどから行動データを取得しパフォーマンスとの相関を測るといった施策も検討していきたいと言います。

続けて、実際にPXTを活用した取り組みについて、①社員育成のための人財還流と②中途採用社員のジョブマッチについて説明。

①においては、お互いの人材や組織が見えないことによる不安や不信感で人財還流が進まないとの課題に対し、PXTによって人材の資質を見える化することで、人材育成などの観点から還流が進むことを促しています。「人事に言われたからではなく、自らが情報を開示することで自然に進んでいるのは意義のあること」と東谷氏。今後の仕組み化が課題と言います。

②においては、面接官の感覚による判断で入社後のアンマッチが判明するケースが散見するという課題に対し、配属組織のPXTやペルソナ情報によって求めるジョブモデルを明確化し、求職者にもPXTを受検してもらいマッチングを図る施策に着手しています。

そして、東谷氏は部長を務めるコンサルティング事業部のミッション「日本の人事をアップデートし、人財価値を最大化する」を紹介。多様化する働き方の中で求められる人事のアップデートに貢献していく方針を話しました。

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(出典:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ)

人財価値を最大化するためには、企業のMVVによる存在意義の定義と社員の自己実現に向けたキャリアプランへのアサインが重要であり、そのためには「企業が求める仕事」と「社員のやりたい仕事」をマッチングすることがキーであると指摘しました。

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企業と社員のマッチング追求が大きな流れに

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(出典:株式会社エヌ・ティ・ティ・データ)

水谷は、このマッチングについて「HRD Next」のこれまでの全3回のセッションでも共通して触れられたテーマであると指摘し、「ここに向かって動き出しているように感じます」とコメント。そして、HRDとNTTデータの取り組みとの一致感に触れた後、NTTデータ副社長の山口重樹氏の書籍『デジタル変革と学習する組織』を紹介しました。

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ここで、視聴者からの「以上の取り組みに経営層をどう取り込んだのか」との質問を取り上げ、東谷氏は「最初から経営層を巻き込んでDSOの座組を行いました」と回答。また水谷はそうした観点で東谷氏に普段大切にしていることを尋ね、東谷氏は「人や技術、組織などの点と点を繋ぐことが大事であり、そのためには点をたくさん集め、相互理解を促すこと」と回答。水谷は「喫煙室での東谷氏と内山氏の出会いが象徴的」とコメントし、東谷氏を“花粉の運び手”という人材類型に該当すると評しました。東谷氏は「花粉は自分にくっついているので、運び手とは意識していませんが」と笑って返しました。

最後にコメントを求められた内山氏は「これまでの3回のセッションを聞いて、皆さん同じ山を上っていると感じ、仲間が多く頼もしく感じました」と回答。東谷氏は、内山氏と同感で各セッションの登壇者からアップデートできることへの期待や、『デジタル変革と学習する組織』の著者である山口氏という経営層の一角が組織や人材に深くコミットしていることへの満足感を話し、本セッションを終えました。

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★ゲストスピーカーの紹介★

株式会社NTTデータ
ITサービス・ペイメント事業本部 SDDX事業部長
内山 尚幸 
Uchiyama Naoyuk

1996年当社入社。カード&ペイメント事業部ビジネス企画統括部長、ITサービス・ペイメント事業本部サービスデザイン統括部長を経て、2019年4月より現職。ペイメント領域の新サービス企画、リテール・サービス業界をターゲットとしたソリューション企画などに従事。
グローバルブルー・ティエフエス・ジャパン株式会社 取締役。ネットイヤーグループ株式会社 取締役。

株式会社NTTデータ
コンサルティング事業部 部長
コーポレート統括本部 デジタル戦略室(Digital Strategy Office)兼務
東谷 昇平
Touya Shohei

2002年にNTTデータに入社。セキュリティ、データセンタ、クラウドの事業に従事し、SI、ソリューションセールス、企画・マーケティング、アライアンス、ハイアリングなどの職務を経験。近年はコンサルティング事業部にてデジタルタレント・ピープルアナリティクス、マーケティング・ブランディングを手掛ける。

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