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組織文化の変革と、そこで求められるリーダー像とは『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day2_Session4』

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組織文化の変革と、そこで求められるリーダー像とは『HRD Next 2021-2022 PROGRAM3 Day2_Session4』

経営環境の変化の中でも、他社との差別化を図り組織を継続的に成長させるための重要な要素は、“人”です。世界のCEO・経営幹部に対する調査GLF*から得られた洞察をもとに、変化の時代に求められているリーダー像と、戦略を加速させる組織文化について、プラクティカルな事例を交えながら議論を進めていきます。

*GLF(グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト)は、MSC社のパートナー企業であり、世界中の組織に対して優れたリーダーの採用、選抜、育成を支援しているDDI社が、1999年から隔年で実施している世界規模のリーダー調査で、日本ではMSC社が主体となって実施しています。9回目となる最新の調査は、HR業界の著名なアナリストであるジョシュ・バーシン氏と協働で行い、世界50カ国以上、24業界から2,102人の人事担当者と15,787人のリーダーの回答を検証しています。
※GLFはこちらからダウンロードできます。 

セッション動画はこちら

ゲストスピーカー:
株式会社マネジメントサービスセンター
代表取締役社長

遠山 雅弘 

モデレーター:
HRDグループ・プロファイルズ株式会社
執行役員 シニアコンサルタント
久保田 智行

目次

事業環境の変化と、それに伴う組織・人材課題

HRDグループは、様々な専門性を持つパートナーと共にお客様のリーダー育成を支援しています。本セッションは、30年以上、パートナーシップを組んで共に取り組んでいる株式会社マネジメントサービスセンター(MSC)より、代表取締役社長の遠山雅弘氏をお招きし、お話いただきます。

まずモデレーターが、本セッションの背景となる事業環境の変化と、それに伴う組織・人材課題について説明。事業環境の変化としては、破壊的新技術の動向や高まる地政学的リスク、強化される政府規制などによる高まる一方の不確実性を指摘。その背景の中で、人事制度を適合させるための4つの方針として、

①事業戦略・組織戦略と統合された流動的な人材戦略の立案・実行
②人材マネジメントのパーソナライズ化とマイクロフィードバック
③人材マネジメントの確実性を上げるためのデータ活用
④経営層のリスキリングをきっかけとする「学習する組織文化」の醸成
⇒戦略にアラインする人材の特定、個々人の測定、アダプティブな育成施策の提示が必要

との提言を提示。この4つの方針を推進させていく上で、HRDグループの心理学・統計学を駆使したアセスメントツール(DiSC/ProfileXT/CheckPoint360)と、経営/組織/人事に関して高い専門性を持つパートナー企業との協働により、お客様を支援していることに触れ、遠山氏のプレゼンテーションに移りました。

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大規模調査に基づくリーダーシップの現在と未来:今後10年間で最も変化すること

遠山氏はまず、MSCを紹介。人材アセスメントを中心にコンサルティング、リーダーシップ開発などを手掛け、年間600社以上・80%以上が継続利用の企業と取引し、過去55年でのべ150万人以上の育成支援を手掛けていること、また世界最大手のリーダーシップ・コンサルティング企業である米DDI社と協働で93か国での多国籍プロジェクトを実施していることに触れました。

続いて本題に入り、「大規模調査に基づくリーダーシップの現在と未来」について説明を開始。まず、DDI社と協働して行っている「グローバル・リーダーシップ・フォーキャスト(GLF)」を紹介しました。1999年にスタートし9回開催したグローバルで最大規模のリーダーシップ調査で、2014・15年は「VUCAと戦略人事」、2017・18年は「デジタル・リーダーシップ」をテーマとして実施。コロナによるパンデミックの渦中である2020年に調査を行ったGLF2021においては、世界1万5,787人のリーダー(うち日本は1,043人)、2,102人の人事担当者(同89人)が回答しています。

遠山氏は、調査項目の「今後10年間で最も変化すると考えることはどれですか?」の結果について説明。グローバルと日本企業のCHROの結果を下記のとおり示しました。

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(出典:株式会社マネジメントサービスセンター)

グローバルではリスキルが最も変化すると考えられているのに対し、日本では最も変化しないと考えられており、遠山氏は「こうした結果が現在のグローバルと日本の格差となって表れているのではないでしょうか」と指摘。日本では、アウトソーシングやパートタイムが最も変化すると考えられており、「標準化できる仕事にはなるべく固定費をかけず、正社員はクリエイティブな仕事に集中させていこうとする姿勢が示されていると思います」と解説。久保田は「組織を変化させていく具体策として、アウトソーシングやパートタイムが位置付けられているのではないでしょうか」とコメントし、遠山氏は「環境変化や戦略のアップデートに合わせて組織を流動化しやすくする狙いがあると考えられます」と応答。また、「リーダーになる意欲を持つ人材の低下」がグローバルでも日本でも共通している課題として挙げられています。日本の特徴としては、「従業員の忠誠度(の低下)」が挙げられ、遠山氏は「ロイヤリティの形が変わってきているのがうかがえます」とコメントしました。

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リーダーの質、リーダーの供給体制への評価がともに低い日本

次に、リーダーの質に対する認識の格差(リーダーvs.人事)を提示。グローバルリーダーの認識は、2011年は38%、2014年は40%、2017年は42%、2020年は48%と、約半数が“Excellent”もしくは“Very Good”と回答。遠山氏は「パンデミックの中で頑張っているとの自負が表れています」とコメント。一方の人事はそれほど高くはありません。「リーダー自身の思いと周囲の期待のギャップが出たといえるでしょう」と遠山氏。一方で、日本の場合は、リーダー自身も人事も10%未満の低い状態です。

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(出典:株式会社マネジメントサービスセンター)

次に、リーダーの供給体制に対する評価ついて。「優れている」と回答した人事担当者の割合は、グローバルでは、2011年は18%、2014年は15%、2017年は14%、2020年は11%で、10年間で大きく低下。日本では9%、6%、4%、0%とより深刻です。「変化が激しい環境においては優れたリーダーを供給する体制が必要ですが、最近は変化が激し過ぎてついていけていないという危機感が表れています」と遠山氏。

久保田は「いろいろな企業を支援している中での実感値に近く、外資系企業ではリーダーが役割を全うするために自分自身で予算を取ってきて何とかしようという人が多く、日本企業との差を感じます」とコメント。遠山氏は「予測ができない中で安定的に組織を成長させていこうとすれば、供給体制が間違いなく重要なカギです」と指摘します。

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(出典:株式会社マネジメントサービスセンター)
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5つのメガトレンドと、今後3年間より重要になるスキル

遠山氏は次に、今回のGLFで「変革を推進」「燃え尽き症候群への対応」「つながりを切望」「デジタルワークの促進」「優れた人材の定着」という5つのメガトレンドが確認できたことを提示。変化の時代にリーダーは製品・サービスのイノベーションなど変革を推進する任務が課せられていることが重要なテーマとなっています。そうした中で、メンバーやリーダー自身も疲れ果て、バーンアウトしていることも浮上。また、リーダーは管理業務に時間を取られ、上司やメンバーとの会話に十分な時間が取れていない様もわかります。DXの重要性はわかっていてもデジタルスキルに自信が持てていないこと、優秀なリーダーが育ち定着させるために何が必要かといったテーマも大きなトレンドになっています。

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(出典:株式会社マネジメントサービスセンター)

「変革を推進すればバーンアウトしがちとなり、それを防ぐためにもデジタルワークの中で繋がりをつくる必要があり、そうしないと優秀な人材は離れていってしまうと、これら5つの要素は全部繋がっています。また、HRD Next 2021-2022の各セッションでも度々言及される心理的安全性や個人の感情への配慮といったことにも繋がっています。」と遠山氏。

久保田は、転職意向度が上がっているとの調査結果があることを指摘し、「優れた人材をデジタル環境の中で定着させるためのバーンアウト対応などは重要なトレンドだと思います」とコメントしました。

次に遠山氏は、「リーダーが想定する今後3年間より重要になるスキル」の調査結果を提示。重要度の高低と現在の準備度の高低によるマトリクスを示し、いずれも高い「継続的な能力開発が必要」なものは「コーチングと権限移譲」「パートナーシップの構築」「共感」があります。「一方、人事は『共感』は不足していると捉えているデータもあります」と遠山氏。

重要度が高く準備度が低い「喫緊の能力開発が必要」なものは、「将来を担う人材の特定と育成」「変革の推進」「戦略的志向」「影響力」。また、重要度・準備度いずれも低い能力としては、「リモートチームの主導」「インクルージョンの推進」「ビジネス手腕」「様々な世代の主導」が並びます。「調査時期がパンデミックの始めの頃なので、今調査すれば『リモートチーム』などは『喫緊』に変わると思います」と遠山氏は補足します。

久保田は、「『喫緊』のところは、まさしくHRD Next 2021-2022の各セッションのゲストスピーカーの企業が実践しているところ」と指摘しました。

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(出典:株式会社マネジメントサービスセンター)

次に遠山氏は「エンゲージメントを高めるための7つの要素」を提示。

  1. 優れたパフォーマンスを上げるための要素が何かを知っている
  2. 将来のキャリアパスを明確に理解している
  3. 上司が自信のウェルビーイングに配慮していると感じている
  4. 質の高い能力開発計画をもっている
  5. 上司から効果的なコーチングを受けている
  6. 自身のスキルに関するフィードバックを受けている
  7. 業務を円滑に遂行するために必要な情報やツールを利用できる


「優秀な人材を定着させるためにもエンゲージメントが必要で、個人のキャリアをどう考えているかを組織が示し、実際に質の高い能力開発施策が提供されていることが重要」と遠山氏は指摘します。

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経営層の関心事項とリーダーシップ開発の課題

ここで遠山氏は、「トップや経営層がよく話題にするのは、この中のどれですか?」との設問を提示。その後、グローバル企業のCEOの結果を示しました。

  1. 次世代リーダーの育成 55%
  2. 世界的景気後退/成長鈍化への対応 54%
  3. 優秀な人材の獲得と離職防止 52%
  4. 新製品イノベーションの推進 50%
  5. 新しいテクノロジーでの成功 46%
  6. 主要な競合他社を業績で上回る 42%
  7. 従業員の再教育とスキル向上 35%
  8. 説得力のある組織目標をもつ 26%
  9. データセキュリティの脅威への対応 20%
  10. 新たな法規制の順守 15%

 
「上位に挙げられているとおり、人材の重要性はますます高まっています」と遠山氏は言い、次のとおり総括として日本のリーダーシップ開発における課題を挙げました。

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(出典:株式会社マネジメントサービスセンター)

「リーダーシップ開発の考え方として、すべての能力が備わったスーパーマンになる必要はなく、これからの自社の事業でどんなことが必要なのかを絞り込んだ上で、そこにフォーカスしながら自信をつけていくというのが一つのやり方かと思います」と遠山氏は言います。

「リーダーシップ開発は研修をやればいいという話ではなく、いかにリーダーを選抜し、仕事をアサインし、いろいろなものをインプットし成功体験を積んでいくかということだと思います」と久保田。お客様を支援する中で、自部門だけでなく、関わる部門を巻き込んでリーダーシップを発揮する存在に触れ、「そういった人を動機付けチャレンジさせる環境づくりがぜひ必要だと思っています」とコメントしました。

ここで久保田は、視聴者からの「外部環境の変化が激しいので余裕がなく、年功序列型の人材配置がそのまま続いている」とのコメントを紹介。遠山氏は、「昔は(リーダー育成の)機会がたくさんつくれたが、今はその余裕がなくなっている。育成を意識して別途時間と労力をかけなければならず、その点は難しくなっていると思います」と応じました。久保田は、「シャーマ教授の“Rescale”として、既存のビジネスと改善、新しいことをする時間の使い方に柔軟性を持たせることにリーダーにチャレンジしてもらうといいと思います」と述べました。

次に遠山氏は、経営幹部が直面しているリーダーシップの課題について説明しました。「環境変化に合わせながら取るべき戦略を企業は決めていきますが、それとリーダー像は必ずリンクしなければなりません」と指摘。激しく変化するなかで舵取りを行うために、企業がパーパスをしっかり持つことの重要性に触れるとともに、今のリーダーが直面している課題を次のように表現しました。

「非常に複雑で目まぐるしい環境の中、新たな市場で競争優位に立つために、全く新しい方法でリーダーシップを発揮することにより、今まで行ったことにない猛烈な速さで、組織に変革を起こさなければならない」

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(出典:株式会社マネジメントサービスセンター)
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「ビジネス・ドライバー」に必要な「サクセス・プロフィール」

「こうした状況で、漫然と全方位で対応するのは難しく、注力すべき課題と伸ばすべきスキルの優先順位を考えましょうというのが我々の提案です」と、遠山氏は事業の目標と組織としての価値づくりといったビジネスの優先事項に向かうために乗り越えるべきリーダーシップの課題(ビジネス・ドライバー)は何で、その課題に対応してリーダーとして成功する要件(サクセス・プロフィール)を揃える必要性に言及。続いて、主なビジネス・ドライバーの例として、“SHAPE THE FUTURE”“EXECUTE”“ELEVATE PERFORMANCE”“GROW THE BUISINESS”の4領域・計29項目を示しました。「組織および戦略によって異なるリーダーとしての優先課題はどこにあり、それに対応できるどんな人材をどう揃えるのかを考えるためのツールです」と遠山氏はコメントし、ビジネス・ドライバーの事例を説明。

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(出典:株式会社マネジメントサービスセンター)

ビジネス・ドライバー 例1:これまで以上に、業界シェアの拡大やグローバルを含めた新たな市場への進出、類似または異なる事業への参入などをスピーディーに進める。資金的な裏付けは十分にある。
⇒企業再編や買収による成長が重要な柱

  • ビジネス・ドライバー:「新組織の結合」
  • 求められるコンピテンシー:戦略的方向性の設定、変革リーダーシップ、チームリーダーシップ

ビジネス・ドライバー 例2:同業あるいは他業界において価値の高い豊富な資源を持つ有力企業との協力関係を築き、市場機会の創出やビジネス戦略の実行につなげる。
⇒一定の分野において外部とのアライアンスを進めるのが重要

  • ビジネス・ドライバー:「戦略的ビジネス提携の構築」
  • 求められるコンピテンシー:起業家感覚、戦略的影響力、人脈の構築、ビジネス手腕


ビジネス・ドライバー 例3:これまでは、個別の大口の顧客数社との緊密な作り込みで安定的な売上を上げてきたが、利益が低迷。これからは、直近の市場動向を踏まえた対応、およびマーケットで何が起こるか、何が必要とされるか、10年先を見越して企業の利益を向上させる仕組み作りが必要。
⇒モノづくりのデジタライゼーションを推進し、ニーズの個別化にもスケールで対応する戦略

  • ビジネス・ドライバー:「高利益の事業成長の推進」
  • 求められるコンピテンシー:起業家感覚、ビジネス手腕、財務感覚、業務運営上の意思決定


続いて、ビジネス・ドライバーによってリーダーシップと戦略をリンクさせ、戦略的優先事項⇒求められる組織文化⇒ビジネス・ドライバー⇒コンピテンシーという流れで整理する必要性を示しました。

次に、ビジネス・ドライバーに結び付くサクセス・プロフィールとして、何を知っているか(知識)、何ができるか(コンピテンシー)、どのような人か(個人特性)、何をしてきたか(経験)の4要件を提示。「ビジネス戦略と人事施策の連動の一つのあり方」として、このビジネス・ドライバーとコンピテンシーは経営幹部、マネジャー、一般社員の各階層にも適用すべきと指摘します。また、サクセス・プロフィールの整理と診断が必要であることや、ビジネス・ドライバーに関するリーダーの準備度を明らかにする効用に触れ、プレゼンテーションを終えました。

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(出典:株式会社マネジメントサービスセンター)

最後に久保田は、遠山氏にHRDグループと30年間パートナーシップを組み、今後も協働していく理由を尋ねました。遠山氏は、「自社もアセスメントを持っていますが、お互いの持つツールの強みを補完し合えることが大きいと思います」と回答し、DiSCをはじめとするHRDグループのアセスメントツールの有効性に言及し、本セッションを終了しました。

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★ゲストスピーカーの紹介★

株式会社マネジメントサービスセンター
代表取締役社長
遠山 雅弘 
Tohyama Masahiro

早稲田大学第一文学部卒。株式会社帝国データバンクを経て、株式会社マネジメントサービスセンター入社後、役員や事業部長などのエグゼクティブクラスの選抜・育成に関するグローバルプロジェクトに数多く携わる。2019年より現職。提携先のDDIとの連携を深め、企業戦略に基づくタレントマネジメントのコンサルティングに従事。現在、経営陣をリードし、企業の人材戦略・育成分野において、企業の成長を支援し続けるHRパートナーとしての企業価値の創造に取り組む。

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